鹿児島地方裁判所川内支部 事件番号不詳 判決
主文
被告人を懲役壱年六月に処する。
理由
罪となる事実
被告人は、
第一、昭和三六年六月一七日頃の午後八時頃出水市上〓渕五六の四番地伊藤タクシー事務所において中村恵子に返金する意思もなくかつ取り返し方を頼まれた事実もないのに恰もこれあるかのように装い、小城武哲に対し「恵子の三万円は小城にやる必要はないのだ、すぐ取り戻してきて恵子に返せと坂本拾志が喧しく言うから残りの二万円を返せ俺が持つて行つて恵子に返すから」云々と偽り申し向け、同人をしてその旨誤信させよつて即時同所において同人から返金名下に現金二万円の交付を受けてこれを騙取し、
第二、同年七月七日新立国孝との間において綾部トミ子より自己宛に送つてくる金は右新立の所有であるからすぐ同人に引渡すことを約束し
1、同月二五日頃前示綾部トミ子から郵送してきた現金一〇万円を受取り自己において保管中、うち金五万円を擅にその頃同市下〓渕の自宅で着服して横領し、
2、同年八月七日頃前示同一人から郵送してきた現金五万円を受取り自己において保管中擅にその頃前示同一場所で着服して横領し
たものである。
証拠の標目(省略)
累犯となる前科
昭和三〇年一〇月五日熊本地方裁判所八代支部において詐欺被告事件につき懲役六月の判決言渡を受け同三一年六月一四日確定
法令の適用
法に照らすと被告人の判示所為中第一の点は刑法第二四六条第一項に、第二の1及び2の点は同法第二五二条第一項に各該当するところ、被告人には前示のような前科があるので同法第五六条第一項・第五七条に従い法定の加重をなし以上は同法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文・第一〇条・第一四条に則り第一の詐欺罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で被告人を懲役壱年六月に処するものとする。
仍て主文の通り判決する。(昭和三八年一月二一日 鹿児島地方裁判所川内支部)